フェス

[ライブレポート] 4/6 YON FES 2019 1日目を観た

4/6~4/7の2日間、愛知県のモリコロパークで04 Limited Sazabysが主催する「YON FES 2019」へ行ってきました。


2016年からスタートし、今年でフォーリミにとって節目の04周年を迎えたヨンフェス。

この記事では1日目の4/6に出演した11組のアーティストのライブアクトの模様を言葉にしてお送りしていきます。

ライブレポート

四星球(SKY STAGE)

セットリスト

M1. クラーク博士と僕
M2. 鋼鉄の段ボーラーまさゆき
M3. モスキートーンブルース
M4. 時間がない時のRIVER
M5. 作業が捗るKiLLiNG ME
M6. swimたいやきくん
M7. Mr.Cosmo
M8. Hey!Hey!Hey!に出たかった

昨年はLAND STAGEのトリでフォーリミが待つSKY STAGEへの民族大移動で沸かせた四星球。3年連続のヨンフェスで初のSKY STAGEに出演した。

 

フォーリミの「swim」をSEに名古屋名物の鰻に乗った康雄さんと、それを支えるU太さんとモリスさんはフロアから登場し、ステージ袖からはまさやん(この日は鋼鉄の段ボーラー”みそゆき”)が味噌まみれになってやって来た。

 

ライブ中盤ではこの後出演する10-FEETからもはやお馴染み「時間がない時のRIVER」を、さらに4/6にちなんでSiMから「作業が捗るKiLLiNG ME」を披露。高速で段ボールを積み上げて完成したのは”キリンの首”

そしてカバー曲メドレーの最後はフォーリミテッドサザビーズ、略してビーズから昨年も演奏した「swimたいやきくん」 原曲の演奏に乗せてサビだけ「およげ!たいやきくん」の歌詞に変えて丹精こめて歌い上げた。

 

文章だけでは面白さが上手く伝わらないのが残念でならないけど、

「平成最後平成最後って言うけど、平成最初のことがやりたいからバンドやってます!」

という言葉に偽りはなかった。

 

「四星球の四で始まり、04 Limited Sazabysの04で終わる、共同開催でやらせてもらってます!」

と意気込みを語って突入した「Mr.Cosmo」では早速スペシャルゲストとしてフォーリミからリュータさんが登場。

フェスに出店した”麺や おがた”ののぼり旗と段ボールで作ったリヤカー屋台を持って、康雄さんと共にフロアにミステリーサークルを作り上げた。

 

コミックバンドとして、毎回のライブに対して思い入れを込めて特別なステージを作り上げる姿勢は本当に尊敬に値する。

それ以上に、悲しみや日々のネガティブを笑いの力で晴らすのが四星球の信念なのだと思う。

 

ライブの冒頭で康雄さんが

「初めてのSKY STAGE、空まで届けたいと思う出来事があったから、空の上にいる人まで笑い声を届けに来ました」

と語って1曲目に演奏した「クラーク博士と僕」は、突然終わってしまう人生もあるからこそ、フェスの2日間を知らぬ間に終わらせないように、一瞬の感動を噛み締める2日間にしようという開催宣言の歌として響いていた。

 

そしてライブの最後には

「1番目に出るバンドのことなんて忘れて”フォーリミ良かったな”で今日は良いんです。ただ月曜日から始まる日々にこのライブのことを思い出し笑いしてもらって頑張ってもらいたい。同じ時代を生き抜きましょう!」

とエールを贈り、フォーリミと地上波で共演した曲「Hey!Hey!Hey!に出たかった」を演奏した。

 

一瞬の感動は必要な時に蘇って生きる力を与えてくれる。そんな場面、そんな光景が2日間で沢山繰り広げられていた。

ONIONRING(LAND STAGE)

セットリスト

M1. A View I Want To Show You
M2. Awaking Now
M3. Photograph
M4. Indigo Blue
M5. Unperfect Days
M6. Summerends
M7. After the Rain
M8. Fireworks

昨年のフォーリミのツアーにも参加した地元名古屋の3ピースONIONRING。

この後出てくるSHANKや翌日に出演したENTHと比べてスカやオルタナティブな要素も少なく、転調を多用したり極端にBPMを上げることもない。このジャンルが生まれた源流を思わせる正統派で上質なメロディックパンクには逆に新鮮さを感じた。

 

「始まった時から毎年3人で観に来てました。今年やっと、そっち側じゃなくてステージに立って歌を歌ってます!」

と話したボーカルのTakeshiさん。この言葉は過去に名古屋バンドとして出演したEVERLONGもステージで話していた。

このフェスのステージに立つことで1つ大きな夢が叶うぐらいに、フォーリミとヨンフェスはシーンでの存在感を強めてきた。きっとこの日も多くの地元とのバンドマンがお客さんとして、夢を抱いて此処にやって来たのではないかと思う。

 

「よく晴れたから、青い空に向かって歌います。夢を持って!」

という言葉も、初出演のバンドだからこそ想いがリアルに伝わってくる。

 

文字通りの青空に向けられた「Indigo Blue」からは止まることなく曲を連発。真昼の晴天に打ち上げたショートチューン「Fireworks」まで真っ向勝負で清々しく駆け抜けていった。

SHANK(SKY STAGE)

セットリスト

M1. Surface
M2. Good Night Darling
M3. Life is…
M4. Weather is Beautiful
M5. Smash The Babylon
M6. 620
M7. Hope
M8. Take Me Back
M9. Wake Up Call
M10. Long for the Blue moon
M11. BASIC
M12. Set the fire
M13. submarine

 

1日目のメインステージ2組目、去年と全く同じ時間帯に出演したSHANK。これでヨンフェスは4年連続の皆勤賞。

 

昨年は肌寒くて少し雲もかかっていたけど、今年は暑さすら感じる晴天に「Weather is Beautiful」が叩き込まれる。今年のヨンフェスはとても洗濯日和だった。

 

「お前らなんで俺らが4年連続で呼ばれるか分かるか?俺には全く分からん!」

と語った将平さんに他の2人も頷いていたが、SHANKがいつものSHANKらしく毎年ブレずに居続けてくれるからこそ、4年続いて来たこのフェスの変化と進歩が目に見えるのだと思う。

良い意味で変わらない部分を持っているバンドにしか出せない強さと存在感を毎年放ってくれている。

 

「ヨンフェス出る度にフォーリミと友達で良かったなって思います。ラブとリスペクトを送ります。またやろうね」

と言葉を続け、モリコロパークの開放的なロケーションに「Wake Up Call」の伸びやかな歌が響いた。

 

フォーリミがヨンフェスにSHANKを毎年呼んでいるように、SHANKも主催するBLAZE UP NAGASAKIに今年もフォーリミを招き入れた。ライブハウスでやり合う機会は減ったかもしれないけど、今もお互いがお互いの大事なイベントの欠かせないピースだと思っているのだ。

 

「Set the fire」を演奏する前の

「また来年もここに立ってる保証はないけど、続いていくことを願っています。また何処かで生きて会いましょう」

という言葉は、きっと5年目のヨンフェスでも聞ける気がしている。


ナードマグネット(LAND STAGE)

セットリスト

M1. THE GREAT ESCAPE
M2. C.S.L.
M3. プロムクイーン
M4. バッド・レピュテイション
M5. ウェンズデイ
M6. Mixtape
M7. ぼくたちの失敗

今回初登場のナードマグネット。

サウンドチェックでかつてのフォーリミの入場SE、Bowling For Soupの「1985」を演奏する粋な図らいで本編が始まる前からオーディエンスを盛り上げる。

原曲かと思うぐらいに演奏も歌もめちゃくちゃ上手い。本当にパワーポップが好きでやりたくて堪らない人達なんだと思わされた。

 

そして本編がスタートするや否や、ボーカルの須田さんが

「うちのマネージャーがこの後どうしても10-FEET観たいっていうから今日はもう1人物販スタッフを呼びました。みんなもこの後10-FEETに走るぞー!!」

と叫ぶ。おいおいここはヨンフェスだぞと思ったけど、もしかしたら京都大作戦にも声がかかる日も来るかもしれない。

 

重心の低いリズム隊に、その間を縫うようにクリーンなギターが突き抜ける。ナードの曲は音源もとてもカッコ良いと思うけど、ライブの演奏でもそれを十分に再現していた。

演奏のカッコ良さに対して、1曲に1回はガニ股になって弾き倒すギターの藤井さんの姿がとてもシュールだった。笑

 

 

後半のMCで須田さんは

「サウンドチェックでやった曲、やっぱりみんな知ってたね。僕が高校生の時にBowling For Soup知ってた人なんて1人しかいなくて、なかなか音楽の趣味合う人に巡り会えてこなかったけど、自分の好きなものを好きでい続けたお陰でフォーリミに出会えてここに連れて来てくれたと思うと、あの時の自分は間違ってなかったと思う。だからみんなも自分の好きなものを信じて好きでい続けて下さい!」

と話していた。

入場SEにしていたぐらいだし、フォーリミの初期の曲やメンバーの出自にもパワーポップというジャンルは根付いているはずだ。2組の間にはまさに強力な磁石のように結びつくものがあるのだと思う。

 

そして最後の「ぼくたちの失敗」では「こんなはずじゃなかった」と歌いながら多数のクラウドサーファーが飛んでいく。

此処には陰に隠れながらも、好きな音楽を好きで居続けている人達が集まっているのかなと思うと目頭が熱くなった。

 

そんな経験をして来た張本人であるすださんも終いにはフロアに飛び込み、そのまま10-FEETが待つSKY STAGEの方へと駆けて行った。


10-FEET(SKY STAGE)

セットリスト

M1. その向こうへ
M2. 1 size FITS ALL
M3. 1sec.
M4. goes on
M5. RIVER
M6. 蜃気楼
M7. ヒトリセカイ
M8. 時間がない時のRIVER

このフェスが始まった時 “いつか10-FEETを呼べるぐらいのフェスになれば良いな”と思い描いていたことが4年目で遂に実現。1年目のヨンフェスのドキュメンタリー映像の中で、バックヤードでフォーリミのメンバーを励ますTAKUMAさんの姿が印象的だった。

 

京都大作戦に憧れを抱いて始まったフェスなのに10-FEETが1日の前半に出て来るのも、これまでヨンフェスが築き上げたものを後半見てもらいたいというフォーリミの想いがあったのかもしれない。

 

それだけオーディエンスからも出演者からも期待を背負ってのライブだったが、TAKUMAさんの声がどうやら不調気味。いつもは叫ぶように捲したてるように歌う「1sec.」もこの日は殆ど地声で歌っていた。

 

それでも、続く「goes on」では最初の数秒で演奏を止め、

「いやいやいや、俺初年度観に来たから、お前らがもっとやれるの知ってるって。全然こんなもんじゃなかったから。ヨンフェスの本気見せてみろよ!!」

といつもの調子で叫び、やり直しの「goes on」で更なる熱狂を生み出した。

 

この曲の演奏を終えた後に

「セキュリティの人が足りひんくて先にダイブしたヤツが次のヤツをキャッチしてた」

と話していたが、そのような思いやりはきっと10-FEETのお客さんの背中を見て受け継いできた部分もきっとあると思う。

今となってはフォーリミをきっかけに10-FEETを知る人も沢山いると思うし、熱狂的で思いやりもあるフォーリミのライブを観て集まった10-FEETのファンも沢山いたのではないだろうか。

 

 

ライブの終盤で、

「この間仲良い連れが死んでしまった。そいつの言葉に何度も背中を押されてきた。誰かの一言で一生頑張れる人がおるかもしれんし、逆もある。だから勇気を持って、カッコ良く、男前、女前になっていけたら良いなと思います」

という言葉に続けられた「蜃気楼」と、最後に演奏された「ヒトリセカイ」の「明日にはもうそこには」という歌詞が特に重くのしかかった。

この曲を演奏する前にTAKUMAさんは、

「友達は沢山出来ひんくても良いから、”こいつやったら信頼出来る”じゃなくて、”こいつやったら騙されても良い”っていうような友達を見つけて下さい」

とも話していた。この言葉に違わぬ大切な友達だったに違いない。

 

抜け切らない哀しみを抱えてそれをも力に変える熱演だったが、最後には

「京都から来た10-FEETでした。フォーリミ頼んだで!」

と先輩としての頼もしい姿を見せて主役の背中を押した。


ヤングオオハラ(LAND STAGE)

セットリスト

M1. 新
M2. サマタイ
M3. 新曲
M4. 新曲
M5. HANBUN
M6. 美しい

今年のヨンフェス最年少。バンド自体も結成3年弱という短いキャリアの間に、沖縄から愛知にビッグウェーブを起こしにやって来た。

 

昨年のフォーリミのツアーで鹿児島でライブを観た時は、本人もまだ無名の新人バンドというつもりでステージに立っていたように見えた。

ただ、それからの数ヶ月の間に冬の大型フェスや、フォーリミも過去に出演したスペシャ列伝ツアー(今年の列伝ツアーからはtetoとHump Backもヨンフェスに出演)などを経て、相当な自信をつけてここに乗り込んできたことが一目で分かった。

 

カーリーヘアーを刈り落としたフロントマンのハローユキトモがサングラスを外して

「超良い天気じゃないですか!一緒に最高のダンスタイムを!」

とまさにノリノリになってなだれ込んだ「サマタイ」では、ドラムに打ち込みを取り入れてダンスチューンとして新たな一面を見せる。

続く新曲では南国の太陽のギラギラした世界観に、太いベースラインが耳を貫くように響く。「HUNBUN」のような歌心たっぷりに聴かせるミドルバラードも冴え渡っていた。

 

「夜中に酔っ払って寂しくなった時に2~3回ぐらいGENさんに電話しちゃったことがあって、その時は勿論出てくれなかったんだけど、後日電話が来て。怒られるかなと思ったら”ヨンフェス決まったから”っていきなり言われて。”え?”って感じであの時は何も言えなかったから、全力のライブでこの場でありがとうの気持ちを返そうと思う」

と話した意気込み以上のライブを見せてくれた。

 

鳴らしたい音楽性もバンドとしての完成形も、まだまだハッキリとは見えてこないけれど、裏を返せばどんな形にでも化けるポテンシャルと伸び代を秘めていると思う。フォーリミ先輩と共にこれからも光る原石を磨き上げて欲しい。


BiSH(SKY STAGE)

セットリスト

M1. プロミスザスター
M2. SMACK baby SMACK
M3. MONSTERS
M4. 遂に死
M5. HiDE the BLUE
M6. GiANT KiLLERS
M7. beautifulさ
M8. BiSH -星が瞬く夜に-

ジャンルは違えど、フォーリミを凌ぐ勢いでこの1年を駆け上がっていったBiSHがヨンフェスのメインステージにカムバック。

 

1つ前の10-FEETの時も”こんなにテンフィのタオル持ってる人いたっけ?”と思うぐらい10-FEETのホーム感に溢れていたけど、BiSHのライブでも周りには沢山の清掃員のMixとコールが怒号のように飛び交っていた。

 

広大なSKY STAGEに何一つ楽器が置かれていないのは違和感以外の何物でもなかったが、6人が並ぶだけでいっぱいいっぱいだったLAND STAGEで観た昨年よりも格段にダイナミックさが増したライブパフォーマンスだったと思う。

 

「愛知の頼れるお兄ちゃん的存在」

と、フォーリミについて話したチッチのMCに続けて青春パンクを炸裂させた「HiDE the BLUE」の蒼さと「何億光年悩めばいいのだろう」という歌詞は、この日フォーリミは演奏しなかった「swim」の如くまばゆい光を放っていた。

 

この1年間は他のロックフェスでも当たり前のようにフォーリミと共演していたBiSH。

楽器は持たずとも、ダンスと歌でポップもパンクもラウドもエモも表現していく様は、壁があって交わらない部分を繋ぐように様々なジャンルのアーティストが集まるこのフェスの縮図のようにも感じた。


かりゆし58(LAND STAGE)

セットリスト

M1. 電照菊
M2. ナナ
M3. アンマー
M4. バンドワゴン
M5. オワリはじまり

1つ前のヤングオオハラに続き琉球ロックショー。

「フォーリミの導きのお陰で初めてヨンフェスのステージに立たせてもらいます」

と挨拶を交わしたかりゆし58は、フォーリミが「Marking all!!」でデビューした時のインディーズレーベルの先輩でもある。

 

フォーリミが4年かけて作り上げた景色は、フロントマンの前川さんに

「ガキの頃に初めてフェスに行った時には、今みたいに携帯の画面上で世界中の音楽がタダで聴けるようになるとは思ってもいなかった。そんな中でも時間とお金と身体を使って来てくれるみんなのお陰で、あの頃観たフェスにも全然負けない光景が今も生きてます」

と言わしめた。

 

「音楽という名の下に兄弟のような人たちが集まったこの場所で家族の歌を」

と演奏されたバンド屈指の名曲「アンマー」の時には、移動中の足を止めるお客さんも数多く、更にはドリンクカウンターやゴミステーションのスタッフさんまでもが身体を揺らしながら歌を口ずさんでいた。

 

 

「次の時代に”平成死ぬほど楽しかったよ”と言える根拠が今日観ている景色です。フォーリミのおかげで大事な時代だと思えるきっかけを貰いました。また次の時代で会いましょう」

と最後に披露した「オワリはじまり」まで、かりゆしが奏でる優しい歌とメロディーは日が傾き始めた後半戦に染み入るヒーリングミュージックでもあった。

そして同世代バンドでシーンを盛り上げる所からスタートしたヨンフェスが、幅広い年代のお客さんから求められるフェスに成長したことを実感できるステージだった。

 

My Hair is Bad(SKY STAGE)

セットリスト

M1. アフターアワー
M2. 熱狂を終え
M3. ドラマみたいだ
M4. クリサンセマム
M5. 元彼氏として
M6. フロムナウオン
M7. 真赤
M8. エゴイスト

 

「4年連続4度目のヨンフェス!ドキドキしようぜ!」

と今年も「アフターアワー」から口火を切ったMy Hair is Bad。皆勤賞の4年目は遂にメインステージのトリ前という大事な重役にオンステージ。

 

今や頼れる先輩というよりは、ライバルと言った方が良いのかもしれない。

4年間のバンドの成長ぶり、そしてフォーリミがこの時間帯に出番を託した意味というのを彼らはちゃんと理解していた。

 

「さっきSHANKはなんで4年連続で呼ばれてるか分からないって言ってたけど俺はちょっと分かる気がしています。名古屋にとってヨンフェスにとってフォーリミはヒーローだと思う。ヒーローに必要不可欠なものって何だかわかりますか?戦う敵っすよ。俺らは最後ヒーローにやられるから、どうせやられるなら優しくする必要も気を遣う必要もない。最低な悪役を演りに来ました!」

 

フォーリミに直接バトンを渡すステージで、マイヘアは悪役としてヒーローを迎え撃った。「フロムナウオン」で見せた椎木さんの眼差しは、牙を剥き襲いかかる猛犬のようだった。

 

「フォーリミのフェスなんだからフォーリミが良いライブするのは間違いない。フォーリミの限界値が10だとして、俺らが12を出したらフォーリミは15を出す。俺らが100だったら120出す。そうやって底上げしに来た。今日俺らは400出す!ぶん殴られても何度も戻ってくる。ばいきんまんみたいに。これが俺らなりのリスペクトだ!」

 

とにかくプレッシャーをかけるような言葉で自身とフォーリミの闘志を燃え上がらせる。

それでも最後は

「4年連続なんてこのフェスでしか経験してないと思います。大きいとこでやるにしてもいつも一歩前にフォーリミがいる。背中を見せてくれることがとても嬉しい。いつか追い抜きたいけど前に居続けて下さい!」

4年分の感謝とリスペクトを口にしていた。

 

大きなステージでどっしり構える風格も兼ね備えつつも、やっぱり求めているのは文字通り爪痕を残すライブ。目撃したのは、間違いなく4年間で1番でっかいホームランだった。


teto(LAND STAGE)

セットリスト

M1. 高層ビルと人工衛星
M2. Pain Pain Pain
M3. 暖かい都会から
M4. ルサンチマン
M5. 拝啓
M6. 光るまち

昨年のツアーでは対バンシリーズの最後の相手として招かれたteto。ヨンフェスにおいてもラスボスの如く1日目のLAND STAGEのラストを飾った。

 

ステージを縦横無尽に駆け抜け、マイクスタンドをなぎ倒したり、ステージ横の鉄骨に登ったり。そんな光景もフォーリミとの競演を観て来た身としては最早お馴染みの光景として映る

 

「生きていたいと思う人はなんて美しいのでしょうか。あなたがなるべくあなたのままでいれますように」

と貞則さんが想いを込めた「拝啓」までひたすら曲を連発。

この2日間のモリコロパークには、生きることへの執着、エネルギーが集結していることを改めて実感させられた。

 

「みんなフォーリミのいる名古屋が好きなんでしょ?俺は名古屋に住んだことないから簡単に名古屋最高とは言えないけど、名古屋が最高だと思いたい」

「本当はここにいる名古屋の人の家に行って、コーラとかポテチとか食べながら、ゴロゴロしながら歌うのが1番伝わるんだけど、それは無理だから、フォーリミが用意してくれたステージで名古屋の皆さんを肯定させて下さい!」

と最後に演奏したのは、ライブハウスで観た光景と感動を歌にした「光るまち」

 

フォーリミもきっと、薄暗くて薄汚い場所でキラキラ輝いたものを観て来た人を地元に連れて来たいと思ってこのフェスを守り続けている。

 

曲の途中で貞利さんはアコギをエレキに持ち替え、

「ヨンフェスは”もしかしたら人と人って分かり合えるんじゃないかな”って思える場所です」

と話していた。

 

 

去年は太陽が陰っていて肌寒いステージ、だからこそtetoの音楽の温もりをよりリアルに感じた。

2年目はキラキラ輝く夕陽を背後に従えてのステージ。このフェスはtetoにとって、自身の音楽を肯定させてくれる大事な居場所になっていた。

 

04 Limited Sazabys(SKY STAGE)

セットリスト

M1. monolith
M2. knife
M3. Alien
M4. My HERO
M5. Kitchen
M6. Galapagos
M7. midnight cruising
M8. Squall
M9. message
〜アンコール〜
EN1. Terminal
EN2. Buster call

 

「ヨンフェスまだ元気余ってる?期待に応えに来ました!名古屋04 Limited Sazabys始めます!!」

昨年以上に期待とプレッシャーで重たくなったバトンを引き受け、今年も地元のヒーローが還って来た。

昨年は言うなれば”ヒーローになりたてのフォーリミ”だったけど、今年からは正真正銘頼れるヒーローとして大トリのステージに立とうという意気込みが序盤から伝わってくる。

 

これまで色んな所でGENさんのボーカルは”少年のようなハイトーンボイス”なんて言葉で形容されてきたが、2曲目の「knife」の間奏で発した

「ヨンフェス揺れろ!」

の一言には少年の要素などはどこにもなく、漢気をたっぷり込めた怒号のように聴こえてきた。

 

「みんなが半端ないライブをしてくれて良いプレッシャーを貰ってます。4回目のヨンフェスも色んな人が関わってくれて凄い幸せ。だけど幸せがずっと続くと麻痺してくるから、こうやってお客さんともバンドマンとも現場で何度だって確かめ合いましょう!」

とファイティングポーズを見せて披露した「My HERO」と、今年もモリコロパークに降り注いだ「midnight cruising」では歌詞を間違えたり飛ばすシーンも。

 

その後にGENさんがMCで話した

「ヨンフェスだけは毎回緊張して、みんなカッコ良すぎてステージ立ちたくないとか思ったりするけど、みんなの力も借りてしっかり倍返ししたいと思います」

という言葉がそれを物語っていた。

 

最後にステージに立つ重圧からか。競演者との真っ向勝負で、やはりストレートを喰らった瞬間も1日のうちに沢山あったのだろう。

自分もこれまではフォーリミの成長ストーリーとしてこのフェスを観て来た部分が大きかったが、今年は本当に他の出演バンドのライブに圧倒された。

 

「フェスに出れるようになった時には”どうやったらフェスで勝てるか”とか、”このタイミングでどんな曲を出せば良いのか”とか、その時々の状況でやるべき最善策を考えてきたけど、去年ぐらいからはどうすべきかより、自分が何をしたいかが重要になってきた気がしている」

去年までに、バンドが大きくなる上で避けて通れない障壁は大体クリアしてきた。だからこそ登場する更に大きな壁に、フォーリミは今立ち向かっていると思う。そんな中でも

「これだけ沢山の人がいればそれだけの考え方があって、もしかしたらムカつくこととかもあったかもしれないけど、逆にここに集まった人達だけの共通言語もあるから、ヨンフェスに関しては楽しんでいる人に寛容であって欲しい」

と、”べき”に縛られないということをメッセージとして集まったオーディエンスに放っていた。

 

「あと何か言いたいことあったんだけど、、、考えるの止めよう。何言おうとか、考え過ぎても重荷になるだけだしさ!」

と演奏された「Squall」はプレッシャーに立ち向かうフォーリミ自身を鼓舞する曲として鳴り響いた。この曲のメッセージとメンバーの想いが最も重なった時に、フォーリミはきっと今以上に強くなる。

 

盛大な拍手とヨンフェス恒例の「フォーリミ」コールで迎えられたアンコールでは、GENさんが

「今年は何かと悲しいニュースが多くて、明日死ぬかもしれないって実感させられる。明日死ぬかもしれないから今日を一生懸命生きる、だけじゃないと思うけど、今の一瞬一瞬をしっかり感じて楽しむことが大事だと思う。春は別れを強制させられることが多いけど、その時の瞬間に感じた感情は本物だから、それを栄養にして必要な時に取り出したい」

と、演奏中には持ち込まない今の心境を語った。その後

「明日会える人はまた明日、来年会える人はまた来年、生きて再会しましょう」

と「Terminal」を力強く歌い上げた。

 

そして4年目のヨンフェスの1日目のラストは、この1日のプレッシャーやバンドの未来に積み上がった壁を打ち壊す「Buster call」で豪快に締めくくった。

 


翌日2日目のライブレポートも後日アップする予定です。参加された方もそうでない方も合わせてチェックして頂けると嬉しいです。