2019年12月某日。
念願だった紅白歌合戦の出場が決定した3人組ロックバンド、ヤバイTシャツ屋さんにインタビューしました。
みたいな新聞記事風なタイトルで失礼します。
きっと今年はヤバTが紅白に出る年になると思うから!!
だから、もうリリースから1ヶ月経ってしまったけど、今年の紅白を手繰り寄せる3rdアルバム「Tank-top Festival in JAPAN」について書いた。
平成一桁の年代に生まれた我々は、新時代の未来を背負う存在として「ミレニアル世代」なんてカッコ良い名前で括られたりした。
一方で、青春時代をインターネットと共にゆるりと過ごし、これだから最近の若者は〜って言われたり、上の世代と話が価値観が合わなかったり。
自分のせいでもあるけど周りの環境の変化のせいでもあるんちゃうかと、それなりに悶々としながら生きてきた世代でもある。
そんな平成生まれの若者を代表して、時代の変わり目にヤバTが掲げたのが「ゆとりロック」というスローガン。
時代性、同世代が共通して抱いている思いを刻み込んだ素晴らしい作品を作ってくれた。
ということで、2019年最初の作品レビューはヤバTのアルバムをほどよく雑にほどよく真面目に紹介していこうと思う。ゆるりと
ポップでキャッチーなマニアックがかっこE
今作の収録曲の中で1番最初に聴いたのが先行シングルの「鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック」(以下”鬼”)だったのだけど、良くも悪くも曲名通りポップでキャッチー過ぎるのが印象的だった。
ヤバTは確かにキャラが立ってて笑いの要素があるからこそヤバTなのだけど、それでもヤバTはメロコアバンドなんだ。こんなに明るくて狙いに行っちゃいかんやろと。
2018年半ばぐらいに1度このノリに飽き感を抱いてしまったのだ。
あかんあかん。3枚目のアルバムぐらいから”昔の方が良かった〜”って言い始めるオジサンと化してまうわ。
そんなテンションでこのアルバムも最初聴いてしまったもんだから、最初聴いた時のインパクトもそこそこだった。
クプアスって何やねん、雑雑雑雑うるさいねん、いっそのことお前らをどすえボンバーしたろうかって。
でも、そういう心理を丸ごとひっくり返すような、まさに「KOKYAKU満足度1位」なファン受けばっちしなゴリゴリのファストチューンもある。
ラスサビ前のドラミングとギターのギュイーンってやつ、ばりカッコええ。
なんか前より音もめっちゃ良いしキレキレだし、3ピースでこの音出せる演奏力も何気にヤバい。ひょっとしたら全曲インストで聴いた方が良いんじゃないかレベル。
そこから音とか曲の展開とかにフォーカス当てて何度か聴いてみたら、「鬼」とかも結構ええやんけ!って思えるようになった。
中でも推したいのがハロプロ大好きでお馴染みありぼぼちゃん作の「秋」
ストレートなメロコアだと思ったら、サビがよく分からんメロディで、だけどクセになる感じ。
そしてそのサビの後にアイドルソングみたいなめっちゃファンタジックなパートが出てくる。
まるでサンリオピューロランドに迷い込んだみたいなこの謎展開にハマってしまった。
「鬼」で歌ってる「キャッチーな感じでPOPな皮を被ったマニアック」って歌詞はまさにこういうなのかと。
で、気づいた時には「かわE」を聴きながら「カッコ”E”」「うれ”C”」のタイミングで心の中でジャンプしてる自分がいたのだ。
1周回ってキャッチー最高。それが今はええと思ってるんやん。
世代を代弁する「ゆとりロック」
以前に増してポップでキャッチーな曲が多い。
その一方で曲に込められたメッセージ性はより深くより尖っている。ヤバTはロックバンドなんだ。
今作の中で1番メッセージが刺さってくるのが3曲目の「小ボケにマジレスするボーイ&ガール」という曲。
なあ 生かすも殺すもあなた次第
揚げ足取る前に笑いを取りや
– ヤバイTシャツ屋さん「小ボケにマジレスするボーイ&ガール」
シャレが通じない世界にいると、批判を恐れて言いたいことも言えなくなっちゃうよっていう。
インターネット、SNS、顔の見えないコミュニティに属して生きてきた世代を象徴するメッセージソングだ。
個人的にはマジレスVSマジレスも沢山見かける。言い合い合戦みたいな。
打ち負かそうとか、俺の考えの方が上だとか、本当はそうじゃないと思う。
「どっちが良い」じゃなくて「どっちも良い」っていう広い心で言論出来るとええよな。
ロックやパンクには世間に対して中指立てるイメージがある。
けど、今の時代はいがみ合うんじゃなくて、お互いの自由を尊重して朗らかであって欲しいって、”カウンターに対するカウンター”みたいな役割を今のロックバンドは担っている気がする。
そんなメッセージを掲げてくれるロックバンドに今は魅力を感じているし、ヤバTもポップでキャッチーな音楽の内側で言うべきことを言い放っているから頼もしい。
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もうCDに価値はないんか もはやバンドはTシャツ屋さん
– ヤバイTシャツ屋さん「鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック」
それっぽい言葉 それっぽく俺が
並べても 伝わらないから
– ヤバイTシャツ屋さん「かわE」
そんな丸みもあって攻撃的でもあるアルバムのラストを締め括るのが、ズバリ「ゆとりロック」という曲
「野心がない 協調性がない 括られる世代」
「周りに合わせて 上手いことやるのんが苦手な ゆとりロック」
– ヤバイTシャツ屋さん「ゆとりロック」
自らが生きてきた時代のことを、こやまさんはこう表現した。
誰かに用意されたわけでもないし自分で選んだわけでもないけど、平和で豊かな日本にどっぷり浸かった世代。
誰も悪くない。だからこそ今になって何だかコンプレックスを抱いている同世代の若者は少なくないと思う。
だけど、自分たちが生まれた時代が終わろうとしていて、ゆとりと言われて来た人も大人になった。
曲の後半では、これから野心を沸々と煮えたぎらせて、自分たちのペースで新しい時代を作っていこうと背中を押す。
世代を力強く、かつゆるりと代弁した「ゆとり世代のアンセム」に心を打たれた。
2019年は紅白に出て欲D!!
てな訳で、キャッチーで受け入れやすくて、かつメッセージは攻撃的で、時代性と同世代を背負った曲もある。
「Tank-top Festival in JAPAN」は文句なしで素晴らしいアルバムだ。
これを提げて、この1年もっとカッコいい越えてカッコFな曲を作って、2019年こそ紅白歌合戦に出て欲しい越えて欲D。
去年はNHKとタイアップ組んで曲作ったり、その勢いでレギュラー番組を持ったり。
「紅白に出演して欲しいアーティスト」のアンケートでも上位に挙がっていた。
今まで地上波のテレビ番組に出演したことはあるものの「初めてテレビで演奏するのは紅白で」と、番組で曲を生演奏したことはない。
そして、記憶に新しい年末のCOUNTDOWN JAPANに28日に出演したのも、紅白のために大晦日を空けておいたからだという。
紅白に並並ならぬこだわりを持っている。でも去年は出れなかった。
だけど、アルバムの1曲目のタイトルの通り、真の紅白タンクトップ歌合戦は2019年に開催されるに違いない。
ダークホース登場に Can’t stop
元祖タンクトップ伝道師です
茶の間に登壇も冗談じゃないじゃないの
価値観を置換したいのんや この際 この祭で
– ヤバイTシャツ屋さん「Tank-top Festival 2019」
2018年の紅白は今までの価値観に新しい空気が入り込んでいくような、自分たちの世代にも馴染みのある番組に生まれ変わっていくんじゃないかという期待を抱かせてくれた。
今の若者世代のリアルを吹き込むべく、NHKがタイアップや番組に抜擢したヤバTのことだ。
最後の平成で「かわE」は歌えなかったけど、次の時代の最初の紅白はきっと出れる。
新しい元号も、喜びと強い志に溢れる時代という意味を込めて「喜志」とかええんちゃうかな。
今やヤバTは僕たちゆとり世代の代表だ。普段バンド好んで聴かない人にも届いて欲D。
取っ付きやすさと、面白さと、少々のトゲを持って、次の時代はヤバTと俺らがかきまわす番や。
ゆるりと