Sugar(@Sugarrrrrrrock)です。
本日水曜日は毎週恒例新譜の発売日!
最近あまりCDを買っていなかったのですが、今月はここまで毎週手に入れています。
今回僕がゲットしたのは、BIGMAMAのニューシングル「DOPELAND」です!
今作はかなり想像の斜め上をいく作品でして、なんとCDと一緒に、、、
人気小説「君の膵臓を食べたい」を書いた住野よるさんが書き下ろした短編小説が収載されています!!
BIGMAMAといえば元からとてもファンタジックなバンドだと思っていて、
曲の雰囲気、歌詞の物語性はもはや音楽の枠を飛び越えているイメージがあります。
そんなイメージを持っている中で今回の住野さんとのコラボということで見過ごすわけにはいきませんでした。
というわけで魅力がとても詰まった今作を紹介していきます!
感想とレビュー
まず、今作を語るには3月にリリースされたフルアルバム「Fabula Fibula」からの流れが不可欠です。
このアルバムではフロントマンの金井さんが曲ごとにその世界観をモチーフとした街が設定していて(あるいは逆で街をもとに曲が作られて)、
アルバムの最後の曲「愛はハリネズミのように」の舞台となる島の名前が今作のタイトルにもなっている「DOPELAND」です。
いってしまえばこの曲のスピンオフ作品ということになりますね。
「DOPELAND」の設定は愛の形が実体として見えてしまう幻覚の島
見える形は決して丸みを帯びていたりハート型のようなものではなく、
繊細でトゲのあるものだということを提起したのが「愛はハリネズミのように」という曲です。
ファンの方なら分かると思いますが実に金井さんらしい捉え方ですよね。
そこから住野よるさんがインスピレーションを受けて短編小説を金井さんに贈ったのが今作の発端。
SNSを見ていても住野さんは邦楽ロックがかなりお好きなようです。
それに対して更なるアンサーとして金井さんが曲を作ってこのような形でリリースに漕ぎ着いたということです。
「愛はハリネズミのように」で歌われている内容はとても現実味もあってもちろん素晴らしい曲です。
そこから住野さんの小説を通して行きついた愛の正体が1曲目の「CRYSTAL CLEAR」
愛の実体は人と人が目ではなく心を通わせることで見ることができる。
なんともロマン溢れる結末に辿り着きました。
・・・
こんな事を真面目にずっと書いてると自分でも気持ち悪いんでこの辺にしときます(笑)
僕が言いたいのは1つの曲から更なるストーリーが展開されて、
そして次に出来た曲に至る過程の魅せ方が素晴らしいということ。
音楽という目に見えないものを言葉の力で聴き手一人ひとりの頭の中に映し出してくれる、とても密度の濃い音楽体験が出来ると思います。
「CRYSTAL CLEAR」も2曲目の「ILLUSION」も、
曲調としてまさに澄み切ったイメージが全面に出ていて、限りない高揚感と多幸感に溢れたサウンド。
ここまでのバンドの流れを受け継いで秋に控える武道館前の1つの到達点として着地させた曲です。
そしてこのシングルの原点となった「愛はハリネズミのように」が3曲目に再録されています。
楽しみ方としてはとりあえずCDを1枚通して、そして今作が出来上がる過程を追うように短編小説を読んで、もう一度CDに戻ると良いと思います。
アルバムを持っている方は「愛はハリネズミのように」を知っているはずなので、
先に小説を読んでから「CRYSTAL CLEAR」を聴いてみると1つの物語が出来上がりますよー!
そして最終的には映像も公開されるんですかね。。。
ここまで音と文字で膨らませたイメージがどのように表現されるのか、とても楽しみです。
音楽がデータ化された時代に輝く「芸術作品」
今作は純粋な曲の良さだけではなくて、
音楽を中心とした1つの「作品」として、パッケージ化された商品を手に取る体験の素晴らしさも再認識させてくれました。
正直、今では単なる物体としてのCDは必要なくなっているじゃないですか。
音源だけが欲しければ配信されているのを買えばいいし、何か形として残すんだったらCDよりUSBとかの方がコンパクトだし、
僕が使っているパソコンにはCDドライブが内臓されてありませんし。
ただ、映像がついてたりライブの先行予約が出来たりで、CDそのものが目的では無いにせよ、特典目当てでCDを買う人はまだまだいます。
後はやはりジャケットと歌詞カードですよね。ここからアーティストの想いを汲み取るという機会がないとアーティストとリスナーとの関係にも影響すると思います。
今回の場合はそれに加えて「CDに小説付くのかよ!」っていう驚きがまずありました。
そもそも住野さんの小説に「付く」って表現はよろしくないですね。
音楽と同列に他の分野のものが1つの商品としてパッケージされているのが素晴らしいなと思いました。
本来はどのCDもそうなんですが、まさに「芸術作品」と言うに相応しいです。
そして、今作は音楽が文学に波及して、そして再び音楽にインスパイアされるという、異なる芸術分野の間で1つの物語が横断していく過程、
しかもこれがロックバンドとの間で起こったのがこれまでにはない新たな体験でした。
特にロックバンドの音楽は手作り感や人間味があって、
それが音楽以外の分野と結びつくことでバンドマンのアーティストとしての一面をより引き立たせるのではないかと思いました。
今作のようなコラボレーションが他のバンドでも起こったらきっと面白いことになりますよね。
その中でもBIGMAMAは色々なアートとの親和性が高いロックバンドだと思います。
この先も他分野とのコラボ等、想像もつかないことをやってくれるはず。
10月の武道館ワンマンはいわゆる節目、到達点だと最初は思っていたけど、
「Fabula Fibula」と「DOPELAND」を経て、武道館を踏み台にしてくれるんじゃないかと期待せずにはいられなくなりました。
ここから本当の真価を見せてくれるに違いありません。
「その瞳に一点の曇りなし」